地方自治体のできごと

地方自治体で起きてることを書いてます

「ふるさと納税のお得な情報」という誤解

 ふるさと納税はお得とか節税とかいろいろと言われて、毎年寄付の規模も拡大しており、地方自治体にお金が動いており大変良いかと思います。寄付者もどんどん増えてネットでの情報も充実しており良い仕組みになってきたのかと思ってます。

 しかし、寄付者が誤った情報を信用したまま、無駄な費用をかけてまでふるさと納税をしながら「お得」と訴えている人も見かけますので、今一度見直してみると良いかと思い少し「ふるさと納税」の実行方法についてまとめてみました。

 

寄付先と返礼品の選び方

本来であれば、応援したい街を選ぶべきですが、目的が「お得」であれば、返礼品で選びます。欲しいものがある街を探して寄付しましょう。申し込みも専用サイトが各社あるので、使いやすい所、サイトからバックがある所など自分の基準で決めて寄付しましょう。支払方法も専用サイト各社で様々ありますので、都合の良い所を選ぶと良いでしょう。
注意としては、雑誌や特集サイトみたいなところに行くと細かく計算して「返礼率」とか出してますが、肉だとランクが違ったり、魚介だと冷凍と生の違いだったり比較するのが大変なことになりますので、どれだけ届いたときに幸せな気分になれそうかなんて基準で選択することが一番良いと思います。
雑誌などで特集しているものがあり買う人もいますが、「お得」を目標に頑張っているのであれば、そこに費用をかけるのは本末転倒なので気を付けましょう。

 

手続きについて

ふるさと納税の手続きは最近は簡単で、寄付専用サイトで申し込み支払いをすれば終わりです。寄付はそれで終わりですが、「お得」にするためには、「寄付金控除」となるように申請する必要があります。その方法が現在2種類あります。一つは「確定申告」もう一つは「ワンストップ制度」です。どちらの方法を選ぶかは自由ですが、お勧めは「確定申告」です。

「ワンストップ制度」は確定申告していない人向けの制度らしいのですが、寄付先の自治体にマイナンバー情報などの書類を郵送しなければならなかったり、寄付先は5団体以内だったりと条件がいろいろとあり面倒です。郵送だけ考えても、郵送費用、手間だけでも結構なコストになりますので、ここまで「お得」を目指しているのに、重要な部分で損をするのはいかがなものかと思います。

「確定申告」をお勧めする理由は「お得」を目指すならではの理由があります。ふるさと納税で「お得」を目指している人は、「マイナポイント」をもらっているからです。マイナポイントをもらうためにマイナンバーカードを作って所持しており、マイナンバーカードとスマホがあれば特殊な機械も不用でe-TAXで確定申告できてしまいます。

しかも今年から寄付専用サイトでダウンロードしたファイル(XML形式)を添付するだけで終わり!?という状態になったので、わざわざ寄付先の自治体に申請書類を送るという手間やコストを考えると、少しの使い方を学習しながらスマホe-TAXから確定申告した方が絶対にお得と言えるのです。

e-Taxの詳細な手続き方法については、e-TaxのサイトやGoogle検索で簡単に見つかりますのでそちらを参考にしてください。また、寄付サイトでも詳しく説明がありますのでそちらを見ながら進めるのが良いでしょう(個人の感想として、寄付サイトにe-Taxの情報が無いサイトはあまり善意は感じられないので寄付という善意の心を仲介するサイトとしてはどうかと思って今しまいます…)

 

e-Taxで確定申告する上での注意点

少しだけ注意点がありますので、記載しておきます。

ふるさと納税で便利にe-Taxするためには、国税庁が指定した特定業者一覧に掲示されている業者でなければなりません。

大手寄付サイトの記載はありますので、ほとんどの場合大丈夫だと思いますが、まれに、後発の寄付サイトは未対応という場合は寄付先の自治体から送付されてくる「寄付金証明書」等が必要となりますので、ご注意ください。

 

最後に

ふるさと納税は地方にお金の流れを作る大変良い制度ではありますが、仕組みがいまいちな所が多く、ワンストップ制度は確定申告しなくても良いのですが、地方自治体が書類整理に時間が多大に割かれ、最後は外注に出すなど寄付のほとんどが事務経費となってしまい、寄付のメリットがなくなるという、本末転倒な状態になっていることもあります。地方は通販会社ではないのでそれほど強力なリソースがあるわけでもなく、限られた中で維持している自治体がほとんどですので、寄付先の負担なども考えた「優しい寄付」をお願いしたいです。

ふるさと納税という名の寄付

ふるさと納税に関しても色々とご相談を受けており、悩んでいる自治体や楽しんでる自治体、苦痛に思っている自治体と様々です。

数年前にはふるさと納税の認知度も低く、ポータルサイトも乱立していない状態でしたので、登録しておけば寄付が「〇億円」というような時期でした。

だんだんと始める自治体が増え、競争が激化、目立つためなら何でもするみたいな自治体も増え、裁判沙汰になるようなものとなってしまいました。

これって正しい姿なのでしょうか。寄付をいっぱい集めて、裁判やってる…費用は誰持ち?

 

裏側を見ても残念な姿しかありません。

地方に行けば行くほど事業者さんとの調整が難しく、なかなかうまく回らなかったり、セキュリティの認識が甘く、事業者さんが勝手にリストを再利用したり、事務処理が追い付かず疲弊しきったり…と辛い仕事となっていました。

最近では追い打ちをかけるように、寄付額の低下で悩んでいる自治体が多数を占めるようになってきました。

ふるさと納税の規模は2019年は減少したとはいえ、4875億円ということです。ものすごい額です。でも、寄付額が減少している自治体が多数あり、ひも解くと落差が生まれているということになります。

自治体の職員さんはECサイトもやったことある方はいないと思いますし、仕入て販売するような事もやったこと無いと思いますので、尚更大変なのは言うまでもないですね。

 

そんな中、救世主的な業者が現れ、ほぼすべてを代理で行ってくれるというものです。受付サイトをもち、返礼品業者から仕入れて配送手配を行うというものです。神のようなサービスですね。ほぼ何もしなくても寄付は入ってくるというような仕組みで言うこと無いと思いますが、色々と手数料だとか仕入値を調整したりとか…お金ですべて解決という感じです。

 

最近はどうも寄付する気がなくなり、数年ふるさと納税もしなくなってしまいました。

寄付で減税されるということなのですが、納税は国民の義務です!それを減らす行為は正しいのでしょうかw

また、よくわからない業者が心も無く(あるかもしれませんが)自分の利益のために処理されたふるさと納税に意味はあるのでしょうか…と個人的には思ってしまいます。

 

とは言うものの、頑張っている自治体も沢山あります!

そうい自治体を応援したいという気持ちもありますので、次はそういう自治体の探し方をご紹介したいと思います。